マリンピア神戸水産体験学習施設

 神戸垂水漁港の西部の埋立地。 明石大橋を西に望む先端部が敷地である。広大な埋立地に建物は皆無で、 護岸の先が防波堤であり、その先は瀬戸内海である。

マリンピア神戸水産体験学習施設1

 国の補助の付いた事業で海や漁業に親しむための学習施設である。
 展示学習室と研修室を別々の軸線上に組合せて、明石海峡を望むように配置したい。また延床面積は規定ピッタリにしたい。
 近い将来、周囲は民間の商業施設等の建物が建つ予定であり、それらの建物からの視界をさえぎらない為に、高さは6m以下にするように。また休憩広場や散策路の計画も行って欲しい。
 構造は鉄骨造で海水から構造体を守るためにコンクリートの壁面で被い、さらにその上に兵庫県産の間伐材で被いたい。

 公共の事業で予算取りのために、設計プログラムや設計期間が概ね定められていた。大変短い設計期間であった。
 プランは大体決まっていたがボリューム面の検討案を何案か提示し検討した。展示学習室と研修室、それらを繋ぐエントランスホールの三つのボリュームにそれぞれ固有の曲面を持つ屋根を載せ、沖の波に呼応させる。
 間伐材の外装を縦貼で提案したが、どうゆう訳か横貼になった。
 休憩広場や散策路もいろいろな提案をしたが、ありきたりのものになった。

 この建物が完成して数年後には、建物を取り囲むようにアウトレットの巨大な施設が取り囲み、陸地からは見えなくなった。しかし、海に面しての立地が幸いしたのか、この施設や休憩広場の利用者は多く、その点では建ってよかったと素直に思える。


2013.06.04