光や影の演出、空気の流れや物質のリズム
それらが織りなした偶然の一瞬
心地良く感覚がふるえ、想像力を促す
夢想するのはそのような空間
建築を学んで、漠然と良い建築を創りたいと考えていました。
良い建築にめぐり遇いたいと、建築をめぐりました。
しかし、どういう訳か、印象に残ったものは、
洞窟や廃墟、あるいは古い建物ばかり。
それらには何か不思議な魅力があるのでしょうか。
機能を満たし、調和のとれた、そつのない建物。
それは知識を学び、経験を積めば、概ね造ることは可能でしょう。
しかし、それだけでは人の五感に語りかける建物にはなりません。
・・・・人の気持ちに響く建物には何があるのでしょうか。
建築が出来上がる過程。それは決してスマートなものではありません。
建築主の熱意、建築家の夢想、施工者の思惑、様々な制約、
それらの要素が渦巻いて、あたかも熱気にあおられた祭りのあとの
静けさの中に忽然と姿を現すかのようです。
しかし、そこには確かに人の強い意志の痕跡が留められ、
まれに、豊かな表情で閃光を放つのではないか・・・・。
建築とは言葉では語れないものと悟りました。
建築は言葉では語れないものがあります。
落ち着いた気分にさせてくれたり
楽しい気分にさせてくれたり
時にはワクワクする気分にさせてくれる。
つまり五感に響き合うものが建築でしょうか。
環境・空間の切取・素材・色彩・そして建築主と建築家の思い。
それらが共鳴しあったとき
「建物」は「建築」に生まれ変わります。
次に創るものが代表作。
常にそうでありたいです。