神戸の東西を結ぶ山手幹線道路に南面し、王子公園にもほど近い立地である。 幹線道路に面しては2~4階建ての住宅や各種店舗が混在し、やや雑多な街並みであるが、 歩道並木や中央緑地帯の生い茂った木々が景観に潤いを添えている。
従前の木造の特定郵便局の建替えであるが、郵便局に加え、局長の住宅、馴染みの歯科医師さんの診療所、アトリエが加わった複合建築物となった。
いままでの特定郵便局といえばなにかありきたりな建物のイメージがあるが、是非そのイメージの殻を打ち破った斬新な郵便局にして欲しい。
ATMの関係から、郵便局部分の工事の着工と竣工の日時は厳守して欲しい。
公共性と地域性をどのように表現するのか。この地域に根ざした建物となることを願い、それをテーマとした。
限られた敷地の中、それぞれのスペースをフレキシブルに最大限の活用を図るために、桁行3等分のラーメン構造とし、柱や耐力壁は外壁面のみに配置し、2、3階へのアクセス階段は北東外壁面を取り巻くような配置とした。そして公共性があり地域に根ざした建物とするために、鮮明で分りやすいデザインを目指した。その結果、ラーメンフレームを前面に浮き出させ、シンプルで力強い一つのマッスとなる形状となった。
シンプルなラーメン構造を前面に表現するために、コンクリート打放し仕上としたことは意図が鮮明であった。しかし築30年以上も経って、所有者が変わり、外装が吹付けに変わってしまった。デザインの鮮明さがぼやけてしまったのは寂しいかぎりである。
郵便局と歯科診療所はしっかりと地域に根ざしてはいるが・・・。
2013.06.04