阪神甲子園駅に近接した立地である。
敷地は南北に長い形状で街区を横断して南と北にそれぞれ幅員6mと4mの道路に接道し、
南道路を挟んで阪神電鉄の軌道に面している。
駅前ではあるが、附近は古くより開発された住宅地として、
成熟した街並みの景観を見せている。従前の木造2階建て家屋の建替えである。
眼科と薬局をこの場所で開業することが計画の発端となって、住宅を建替えることになるが、駅前の立地性を活かして、住まいを兼ねたテナントビルにしたい。丈夫な構造でよい建物を考えて欲しい。
1階は眼科の診療所と薬局の店舗となり、3階は住宅となる。その間の2階が新たなテナントスペースという商住混合の構成で計画を進めた。
駅前の住宅地ではあるが、ファサードデザインは住宅の表情よりも商業ビルの表情をコンクリート打放し仕上として持たせることにした。
南道路面からの引きを強くするために、建物中央部に2階へのアクセス階段を据付け、トップライトを介して陽光を差し込ませた。
このアクセス階段の上階床、すなわち3階床を住宅の屋外テラスとし、コートハウスの中庭としてしつらえた。
外観デザインはラーメン構造を前面に押し出したやや重たいイメージである。
また楽観的な建築的納まりが所々に見受けられるが、もし経験と知識があればデザイン面でどのように変化したのだろうか。逆にこのようなデザインは出来なかったかも知れない。
2013.06.04