姫路市の東端R2号線市川橋の北西角地に位置する。
鋭角な三角形が変形した多角形の敷地である。
附近は国道や幹線道路に面して、量販店や料理店が並び、交通量も著しい。
しかし、道一つ隔てると静かな住宅地が広がる。
国道に面しての商業地であり、具体的なテナントはないが、
1階は車のディーラーでも出来るようなテナントビルを建てたい。
変形した敷地を活かしたプランとデザインを考えて欲しい。
鋭角な直角三角形が隅切りされたような敷地形状である。ありきたりの建物では到底納まらない。敷地形状を頭に入れ現地を何度か訪れていると、自然にプランが出来上がっていった。
分度器のような半円形のボリュームと敷地の一辺に沿った壁面の構成がこの敷地のポテンシャルをきれいに引き出してくれた。半円形の筒と垂直の壁面の間を縫うように階段が上昇し、各階のテナントへと誘う。壁面に穿たれた円弧の断片の開口が内外にアクセントをつける。
このようなユニークな形状の敷地は、プランの糸口が見つかれば、どんどん自然に計画が出来上がっていく。
この計画をしている時期は、いわゆる不動産バブルの末期であった。建築主は建てた後に転売を目論んでいたが、工事が大幅に遅れ、その間にバブルがはじけてしまった。
いま思えば完成までよくたどり着いたものと感心する。しかし、この建物の所有者は転々と変わり、テナントも種々変わったようである。かわいそうな建物である。
2013.06.04