六甲山の南麓に古くから造成された住宅地。
なだらかな傾斜に沿ってひな壇状に宅地が連なる。
その比較的広い一区画が計画地である。前面道路は敷地の西側で、地盤面より1.5~2.0m下がって傾斜している。
住まいのボリュームは出来るだけ広く大きく取りたい。各部屋もゆったりさせ、
駐車場も可能な限りの駐車台数を確保したい。スタイルはシンプルでグッドデザインといえるものにしたい。
予算はやはり出来るだけローコストとする・・・ある種シンプルな要望である。
道路面と地盤面の高低差を考慮すれば自然に地階をガレージとし、
1、2階を居住部とする構成となる。
地階から2階の主要構造は大スパンのRCラーメン構造とする。
その上を木造による勾配屋根で覆う。これにより各部屋のボリュームが自由に確保でき、
また雨水防水上も安心である。
高さの制限線に沿った形状に屋根デザインの方向性が決まりがちであるが、
根気よくふさわしい屋根形状を探っていった。
この家のコンクリート工事が終わり、木造の屋根下地が終わったころに阪神大震災が起こった。
幸い被害はほとんど無かったが、工事は1年近く延びた。
セカンドハウス的な住居で建築主は特に不満点もなさそうな雰囲気であったが、
やはり生活してみて初めて気づく建物とのある種の緊張関係を見てみたいという気持ちは残った。
2013.05.29