大久保の家

 敷地は明石市西部の住宅団地にあり、西側12m、南側6mの道路に接道した角地に位置する。周辺宅地はすでに住戸が建ち並んでおり,一区画も比較的広く、各戸とも緑地スペースは無理なく確保されている。しかし、プライバシーと防犯のために設置されたブロック塀やレンガ塀が、せっかくの緑を隠し、町並みに奥行きをなくしている。

大久保の家1

子供が大きくなり、従前の住宅では手狭になったための建て替えである。 家族5人がそれぞれのエリアを持ちつつも、一体感の持てるような楽しい家が欲しい。 子供達や家族同士が好きに散らかして遊べる場として、ファミリールーム的なスペースが欲しい。
 必要なものは必要になったときに対処するので、出来るだけのローコストで建てたい。 既存の庭や池はそのまま残したい。

 庭や池はそのまま残すので、建て替える位置は従前の家とほとんど同じような位置とする。 新しい家は面積が倍以上となるので、総2階プラス屋根裏部屋とする。 それはローコスト化にも結びつく。
 ファミリールームは屋根裏部分に設け、リビング・ダイニングとは異なったイメージを創り出す。そのために1,2階はコンクリート造とし、屋根裏は木造とする。
 家族の一体感を演出する手法として、小屋裏を含めた3層構造が体感できるように、玄関ホールを3層吹抜とし、トップライトにより陽光を取り込み、各階の気配の混じり合う場とする。
 リビング・ダイニングと2階の子供部屋の一部を吹抜とし、子供の気配が感じ取れるようにすると共に、障子と襖でさえぎり、プライバシーは保てるようにする。
 外構の工作物等もそのまま利用し、仕上を工夫するなどで、新しい家のイメージに合わせる。

 たいへんおおらかで開放的な家である。建った後、以下のことが気になった。 吹抜が多く風の流通は良さそうだが、実際はどうか。 家族の気配が感じられすぎて、かえってストレスにならないか。 子供部屋は明確な間仕切をしなかったが、それぞれストレスなく使用できているか。
 オーナーの感想は、おおらかな家は良い面と困った面とがあるとのこと。 しかし、家を直そうとは言われなかった。このオーナーにとっては、良い面の方が多いということかも知れない。

2013.06.03