西宮市の北西部の古く閑静な住宅地に位置する。
敷地は北面と西面とで接道する角地である。附近は近年、邸宅跡地の集合住宅や分割し規模を縮小した住宅が混在する状況である。
この建物も従前の住宅が集合住宅に建て替わったものである。
ゆとりを持った賃貸マンションとすること。建て替える以上は、地域の景観により豊かな緑と潤いを持ったデザインとすること。
駐車場は全戸分までは必要ないが出来るだけ多く取り、エレベーターはゆとりのあるものを設置する。
コンクリート壁式構造のシンプルで堅牢な構造計画を探る。高さ10m以下で、駐車場を確保する計画は、地下1階地上3階建てが素直な計画である。
入居者は単身者またはカップルを想定し、各住戸は広めの1LDKとする。設備面は、必要十分な範囲のものに留める。ただし住まい手の高い感性に応えるために、建築の各パーツはこだわりを持って選別する。
道路面の擁壁は従前の野面石積とし、旧来の痕跡にこだわる。そして建物周囲の外壁との間を緑地帯とし、植栽にこだわる。
向かいの夙川FLATと同様に内外ともにコンクリート打放しを基調とする。但し3階部分の東西外壁面は外断熱を兼ねた金属サイディング貼とする。
北側道路に面する廊下面及び近隣住宅に面する南バルコニー面は特にプライバシーに配慮する。コンクリートと金属とのデザイン構成は、重厚、軽快、材質、色調、光線の混在が、独自のリズムを創り出す。
2013.06.07