夢野こどもホーム

夢野こどもホーム1

 神戸市兵庫区の北方の市街地に位置する。
 同一敷地内には養護老人ホームや救護施設など、複数の福祉施設が隣りあって存在している。敷地形状は複雑で、かつ高低差も大きい。
 従前のこどもホームの老朽化に伴う施設の建替えである。

 幼児から高校生までの家庭に事情のある子供たちの生活施設であり、男女と世代の区別でそれぞれグループ分けをして生活する。
 子供たちの部屋は個室化の方向ではあるが、個人の部分と集団の部分があり、その混成の調整を考えなければならない。
 計画の内容については施設運用の現場の声を尊重し、協議調整を図ったものとすること。

 子供たちにとっては、何年も生活する自分の家でもある。普通の家庭のような雰囲気にすることは無理であるが、せめて生活部分のインテリアは一般家庭のような雰囲気にしたいと考えた。
 まず子供たち個々が最小単位として尊重されなければならない。個人の集まりが一つの家族のような、共同生活のグループとなる。グループの集合がこどもホームという施設である。

 限られた敷地にいろいろな福祉関係の施設が混在しており、建替えにあたって、建設場所は限られ、僅かにあった運動場も空き地程度のものしか残せなかった。屋外の空気に触れる部分として、屋上庭園緑地をなんとか設けた。
 出来るだけ施設運営の現場の要望を反映させた計画とするために、時間をかけて計画内容を検討したつもりであるが、事業の承認が下りた後のスケジュールは慌ただしく、計画内容に充分盛り込めただろうか。
 感受性が豊かな子供たちにとっては、ハード面でどんなに恵まれた施設であっても、気持ちを満たしきれない。子供たちの気持ちを癒す人の輪が必要不可欠であることを痛感した。

2013.06.05